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「贈与貧乏」になる方が増えています。

2015年8月4日

 こんにちは。税理士の田口です。
 

 聞きなれない言葉だとは思いますが、皆さん「贈与貧乏」という言葉をご存じでしょうか。実は今「贈与貧乏」の方が増えています。
 

 「贈与貧乏」とは、贈与をし過ぎてしまい、老後の生活資金がなくなってしまった方のことをいいます。
 

 皆さんもご存じの通り、平成27年1月1日に発生した相続から、相続税が大幅に増税になりました。基礎控除枠が大幅に縮小になったことが要因です。基礎控除枠の縮小により、相続税の申告割合が1.5~2倍になると言われており、一部の富裕層だけの問題と言われていた相続税も、決して他人事ではない時代となりました。
 

 この「基礎控除枠の縮小」が「贈与貧乏」の増加に大きく関係しております。
 基礎控除枠が縮小したことに伴い、子や孫に対して「生前贈与」を行う方が非常に増えております。これは、生前に贈与を行うことで相続財産を減らし、相続税の節税することが狙いです。
 

 贈与額が年間110万円以下であれば贈与税はゼロです。また、年間200万円の贈与であれば9万円、300万円であれば19万円です。将来、高い相続税がが課税されないように、定期的に贈与を行い、税負担を少なくしようとすることが世の中のトレンドとなっております。
 

 しかし、ここで大きな問題があります。将来子、孫たちに相続税を負担させたくないということで贈与をし過ぎてしまうと、ご自身の老後の生活資金が枯渇してしまうリスクがあるということです。
 

 贈与をしてしまえば、そのお金は子、孫のものです。もう皆さんのお金ではなありません。大変寂しいお話ですが、お子様たちが、皆様の老後の面倒を見てくれるか、その保障はないということです。
 

 実は将来子世代が支払う相続税のことより優先的に対策を考えないといけないことがあります。それは皆さんの老後の生存対策です。
 

 日本人の平均寿命は男性は80歳、女性は87歳です。もし平均寿命まで生きると仮定して、皆さんは老後の生活資金がいくら必要か計算されたことはありますか?
 

 ご夫婦で受取れる年金が年間300万円、生活費が年間500万円かかるとすると、一年間で200万円ずつ資産が減少していきます。仮におご夫婦二人とも現在60歳で、85歳まで生存したとしても、200万円×25年(85歳-60歳)=5,000万円の老後の生活資金が必要になる計算です。
 

 こう考えるといま手元に「生前贈与」を行う余剰資金があるのか、お分かりになると思います。「生前贈与」を検討されている方は、「贈与貧乏」になってしまうことがないか、しっかりと計画を立てた上で実行するようにしてください。